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エンタイトルメント管理とは何か:SLAをSalesforceで運用する仕組み

結論:まずこれだけ覚える

📌 「この顧客にはどこまでのサポートを、どれだけの速さで提供するか」という契約上の約束(SLA)をSalesforce上で運用するための仕組みが、エンタイトルメント管理です。3つの部品でできています。 エンタイトルメント=約束の中身/エンタイトルメントプロセス=対応の時計/マイルストーン=時計の中の締切です。 ゴールド・シルバー・ブロンズのようなサポート階層を管理したい、初回応答は2時間以内・解決は8時間以内というSLAを計測したい、といった要件がこの機能の中心です。チームごとの滞留時間を測る場合は、各チームでの対応を別々のマイルストーンとして明示的に設計し、開始・完了を記録する必要があります。


3つの部品を順番に理解する

エンタイトルメントとは

エンタイトルメント(Entitlement)は、顧客が受けられるサポートの単位です。Salesforce公式は「電話サポート」「Webサポート」のようなサポートの単位であり、保証(warranty)や契約の条件を表現するために使われる、と定義しています。 実体はレコードです。取引先・取引先責任者・資産・サービス契約などに紐づけて作成し、ケースの「エンタイトルメント」項目から参照します。「Cloud Kicks社にゴールドサポートを付与する」とは、Cloud Kicks社の取引先にゴールドのエンタイトルメントレコードを1件作る、ということです。

エンタイトルメントプロセスとは

エンタイトルメントプロセス(Entitlement Process)は、サポート担当者が完了させるべき手順を時間軸に並べたタイムラインです。作成時にプロセス種別としてケース用または作業指示用を選びます。エンタイトルメントに適用すると、紐づいたレコードのうち、そのプロセス種別に一致するレコードでだけ実行されます。ケース用プロセスは作業指示では実行されないため、両方を管理する場合は別のエンタイトルメントを使用します。 「ゴールド用プロセス」「シルバー用プロセス」のように階層ごとに作るのが定石です。

マイルストーンとは

マイルストーン(Milestone)は、プロセスの中に置く個々の締切です。「初回応答」「解決」などの節目に、達成までの時間(ターゲット時間)を設定します。 重要なのは、マイルストーンが営業時間(Business Hours)を基準に計算できることです。24時間で計るのではなく、「平日9時〜18時のうち2時間」といった現実的な計測ができます。

⏱️ 1つの組織で作成できるエンタイトルメントプロセスは最大1,000件です。1プロセスあたりのマイルストーンは標準で最大10件で、Salesforceサポートへの申請により最大50件まで増加できます。Summer ’13より前に作成された組織では、エンタイトルメントプロセスの上限が低い場合があります。 エンタイトルメント管理は、Professional、Enterprise、Performance、Unlimited、Developer EditionでAgentforce Service(旧Service Cloud)とともに利用できます。ただし、Professional Editionではエンタイトルメントプロセスの監視を利用できません。


全体の流れ

段階やること使う機能
1エンタイトルメント管理を有効化する[設定]→エンタイトルメント設定
2サポート階層ごとのプロセスを作るエンタイトルメントプロセス
3プロセスの中に締切を置くマイルストーン(+営業時間)
4顧客にサポートを付与するエンタイトルメントレコード
5ケースにエンタイトルメントを紐づけるケースのエンタイトルメント項目
6達成状況を見るケースマイルストーン関連リスト/レポート

よくある質問

Q. 顧客が増えるたびに手でエンタイトルメントを作るのですか

いいえ。フロー(Flow)でエンタイトルメントレコードを自動生成するのが定番です。Salesforceは「特典の条件に応じてサポートエンタイトルメントを作成または更新する」テンプレートフローを公式に提供しており、フローがエンタイトルメントを作る対象であることは公式に裏付けられています。 商品購入をきっかけに付与したい場合は、エンタイトルメントテンプレートを商品に紐づけておく方法もあります。担当者が商品を追加すると、対応するエンタイトルメントをすぐ付けられます。

Q. エスカレーションルールとどう違うのですか

エスカレーションルールは「一定時間たったら担当を変える・通知する」ための仕組みです。SLAの各段階について開始日時、目標日時、完了日時、経過時間、違反状態を履歴として管理する標準機能はケースマイルストーンです。SLA実績を段階別に可視化するならマイルストーン、放置ケースを自動的に引き上げるならエスカレーションルール、と役割で切り分けます。両方を併用することもできます。

Q. ケースの経過時間なら標準項目でも見られませんか

見られます。ただし標準の経過時間は暦時間です。ケース全体の経過時間を営業時間ベースで確認するだけなら、**営業時間ベースの経過時間(Business Hours Age)**を有効化できます。SLAの段階ごとに測る場合はマイルストーンを使います。チームごとの滞留を測るときは、所有者やキューの変更だけに任せず、各チームの対応段階をマイルストーンの適用条件と完了処理として設計します。


出典(Salesforce公式)

  • Entitlements: Terms to Know — 「エンタイトルメントは『電話サポート』『Webサポート』のような顧客サポートの単位であり、保証の条件を表すために使われる」「エンタイトルメントプロセスは、サポートチームがケースやワークオーダーを解決するために完了すべき手順を含むタイムライン」
  • Set Up Entitlement Processes — 「エンタイトルメントプロセスは、サポートチームが完了すべきすべての手順(マイルストーン)を含むタイムライン」
  • Work with Entitlement Processes — エンタイトルメントプロセスは合計1,000件、1プロセスあたりマイルストーンは標準で10件までであること、およびケース用と作業指示用のプロセスを別のエンタイトルメントで管理する必要があること
  • How a Record Moves Through an Entitlement Process — 「エンタイトルメントプロセスがエンタイトルメントに適用されると、そのエンタイトルメントに紐づくすべてのサポートレコードでプロセスが実行される」「条件に一致するマイルストーンがレコードに割り当てられる」
  • Improve Case Tracking and Reporting by Enabling Business Hours Age — 「営業時間ベースの経過時間は、暦時間ではなく営業時間に基づいてケースの経過時間を算出する」
  • Use the Assign Support Entitlement Template Flow — 「このフローは、特典の適格条件に基づいてサポートエンタイトルメントを作成または更新する」(フローがエンタイトルメントを付与できる根拠)
  • Set Up an Entitlement Template — 「商品ごとにエンタイトルメントテンプレートを作成しておくと、顧客がその商品を購入したときに担当者が正しいエンタイトルメントをすばやく追加できる」
  • Maximize Customer Support with Entitlements & SLAs(Trailhead) — 「[設定]で『エンタイトルメント設定』を開き、エンタイトルメント管理を有効化する」手順
  • Entitlement Management Solutions(Trailhead) — エンタイトルメントが顧客サポートの単位であり、各顧客のSLAに記載されること
  • Increase Maximum Number of Milestones on an Entitlement Process — マイルストーンの標準上限は10件で、Salesforceサポートへの申請により最大50件まで増加できること
  • Supported Editions for Service Features — エンタイトルメント管理を利用できるエディションとAgentforce Service要件、およびProfessional Editionではプロセス監視が利用できないこと
  • View the Case Milestones — ケースマイルストーンに開始日時、目標日時、完了日時、営業時間を考慮した経過時間、違反状態が記録されること