Administrator 練習問題 Q61
Cloud Kicksは、セールスサイクルで合意されたサービスレベルに基づいたサポートをすべての顧客に提供したいと考えています。このサポートモデルには、ゴールド、シルバー、ブロンズの3つの階層があります。顧客になったすべての顧客のアカウントにこのサポートが確実に適用されるようにするには、プラットフォーム管理者はどのような設定を行うべきでしょうか?
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正答:A. エンタイトルメントを割り当てるフロー
解説
前提知識
SLA(サービスレベルアグリーメント)とは
「初回応答は2時間以内」「解決は8時間以内」のように、提供するサポートの内容と速さを顧客と約束した契約のことです。設問の「ゴールド・シルバー・ブロンズ」は、このSLAの階層です。
エンタイトルメントとは
エンタイトルメント(Entitlement)は、顧客が受けられるサポートの単位を表すレコードです。Salesforce公式は「電話サポート」「Webサポート」のようなサポートの単位であり、保証や契約の条件を表現するために使う、と定義しています。 取引先にエンタイトルメントを1件作れば、「この顧客はゴールドサポートの対象である」という事実がデータとして残ります。ケースが作られたとき、そのエンタイトルメントを参照することで、約束した時間の計測(マイルストーン)が自動で始まります。
フローとは
フロー(Flow)は、コードを書かずに「条件が成立したらレコードを作る・更新する」を自動化する標準ツールです。ここでは「取引先が顧客になったら、その取引先にサポート階層に応じたエンタイトルメントレコードを作る」という自動化に使います。 Salesforce公式は、顧客へのエンタイトルメントの紐づけ方は各社の業務プロセスに合わせて設計でき、管理者が自動化でエンタイトルメントを作成できると説明しています。フローの[レコードを作成]要素はSalesforceレコードを作成できるため、取引先が顧客になったタイミングでエンタイトルメントを自動作成できます。
📘 エンタイトルメントの仕組み全体がまだモヤッとする方へ。3つの部品の関係を一から整理した記事を用意しています→ エンタイトルメント管理とは何か:SLAをSalesforceで運用する仕組み
設問の状況を分解する
- 営業サイクルの中で、顧客ごとにサポートレベル(ゴールド/シルバー/ブロンズ)が合意される
- 見込み客が顧客になった時点で、その取引先にサポートが適用されていなければならない
- 対象はすべての顧客。1社ずつ手作業で設定する運用は破綻する つまり求められているのは、**「サポートの約束を表すデータを、取引先に対して漏れなく自動で付与する」**仕組みです。「誰が対応するか」でも「何を通知するか」でもありません。ここを取り違えると誤答します。
選択肢の検討
A. エンタイトルメントを割り当てるフロー → ⭕ 正解
サポートレベルを表すデータ=エンタイトルメントであり、それを全顧客に漏れなく付与する手段=フローです。設問の「確実に適用されるように」という条件に、自動化であるフローが正面から応えています。
B. 各クライアントのルーティング構成 → ✕
ルーティング(オムニチャネルなど)は、発生した問い合わせを誰に渡すかを決める仕組みです。サポートレベルそのものを取引先に記録することはできませんし、SLAの時間計測もしません。 これが正解になるのは、「ゴールド顧客の問い合わせは専任チームに優先的に割り振りたい」という振り分けが問われた場合です。
C. 各サービスレベルのケースへのメール → ✕
自動返信メールは連絡手段であって、サポート契約の適用ではありません。「ゴールドのお客様ですね」と書いたメールを送っても、システム上は何の保証も紐づいていません。
D. 各クライアントのケース割り当てルール → △(惜しいが不正解)
ケース割り当てルールは、ケースの所有者を条件に応じて決める仕組みです。「ゴールドはTier2キューへ」のような振り分けはできるので惜しく見えます。 しかし決定的に足りない点が2つあります。
- 適用先がケースであって、設問が求める取引先ではない
- サポートレベルの契約内容や時間の計測は一切扱えない さらに「各クライアントごとにルールを作る」という運用は、顧客が増えるたびにルールが増え、現実には維持できません。
管理者としての対処手順
- [設定]のクイック検索で
エンタイトルメント設定を開き、エンタイトルメント管理を有効化する - [設定]→[エンタイトルメントプロセス]で、ゴールド/シルバー/ブロンズの3つのプロセスを作成する
- 各プロセスにマイルストーン(初回応答・解決など)を追加し、営業時間とターゲット時間を設定する
- 取引先に「サポートレベル」の選択リスト項目を用意し、営業が合意内容を入力できるようにする
- 関連レコードを作成できる保存後のレコードトリガーフローを作成する
- 対象:取引先
- 起動条件:顧客に確定したとき(例:種別が「顧客」に変わったとき)
- アクション:[レコードを作成]要素でエンタイトルメントを作成し、取引先とサポートレベルに応じたエンタイトルメントプロセスを設定する
- ケース作成時に、対象取引先の有効なエンタイトルメントをケースの[エンタイトルメント名]に設定する運用または自動化を用意する。エンタイトルメントプロセスは、エンタイトルメントにリンクされたケースでのみ実行される
- ケースのページレイアウトにエンタイトルメント項目とケースマイルストーン関連リストを配置する
あわせて覚えておきたいポイント
- 商品購入をきっかけに付与したい場合は、エンタイトルメントテンプレートを商品に紐づけておく方法もあります。担当者が商品を追加したときに、正しいエンタイトルメントをすぐ付けられます。
- 「サポートレベルを記録する仕組み」を問われたらエンタイトルメント、「時間を計る仕組み」を問われたらマイルストーン、「放置されたケースを引き上げる仕組み」を問われたらエスカレーションルールです。
- 自動化ツールの選択で迷ったら、まずフローを検討するのが現在のSalesforceの標準的な考え方です(ワークフロールールとプロセスビルダーは新規作成できません)。
出典(Salesforce公式)
- Entitlements: Terms to Know — 「エンタイトルメントは『電話サポート』『Webサポート』のような顧客サポートの単位であり、保証の条件を表すために使われる」(サポート階層を表すデータがエンタイトルメントである根拠)
- Guidelines for Working with Entitlements — 「顧客へのエンタイトルメントの紐づけ方は業務プロセスに応じて設計でき、管理者は自動化でエンタイトルメントを作成できる」
- Creating a Salesforce Record from a Flow — 「Salesforceレコードを作成するには[レコードを作成]要素を使用する」
- Set Up Entitlement Processes — 「エンタイトルメントプロセスは、サポートチームが完了すべきすべての手順(マイルストーン)を含むタイムライン」
- How a Record Moves Through an Entitlement Process — 「エンタイトルメントプロセスがエンタイトルメントに適用されると、そのエンタイトルメントに紐づくすべてのサポートレコードでプロセスが実行される」
- Set Up an Entitlement Template — 「商品ごとにエンタイトルメントテンプレートを作成しておくと、顧客がその商品を購入したときに正しいエンタイトルメントをすばやく追加できる」
- Maximize Customer Support with Entitlements & SLAs(Trailhead) — 「[設定]で『エンタイトルメント設定』を開き、エンタイトルメント管理を有効化する」手順
- Entitlement Management Solutions(Trailhead) — 「エンタイトルメントは顧客サポートの単位であり、各顧客のSLAに記載されている」