結論:まずこれだけ覚える
- ケースやリードなど、所有者を持つオブジェクトのレコードには所有者が設定されます。オブジェクトによって、所有者にできるのはユーザーだけの場合と、ユーザーまたはキューにできる場合があります。
- **キューは「まだ担当者が決まっていない仕事の置き場」**です。キューが所有するレコードは、必要なオブジェクト権限とレコードアクセスを持つメンバーなどが引き取れます。
- 新規のケース/リードを条件に応じてユーザーまたはキューへ振り分けるのが**割り当てルール(Assignment Rule)**です。
- 割り当てルールは新規作成時に使われるほか、画面やAPIなどから明示的に再適用される場合があります。「一定時間未解決なら再割り当てする」用途はエスカレーションルールです。
- 所有者であることと、レコードを参照・編集できることは同じではありません。実際のアクセスには、オブジェクト権限、組織の共有設定、ロール階層、共有ルール、チームなども関係します。
所有者とアクセス権を分けて考える
所有者は、レコードの主担当を表す1つの項目です。一方、誰がそのレコードを参照・編集できるかは、所有者だけでは決まりません。 たとえば、ケースがキュー所有でも、キューのメンバーにケースの参照権限がなければ操作できません。反対に、所有者でないユーザーでも、共有ルール、ケースチーム、ロール階層、[すべて表示]などによってアクセスできる場合があります。 試験では、次のように切り分けます。
- 「誰が主担当か」→ 所有者
- 「担当未決のレコードをどこに置くか」→ キュー
- 「誰がそのレコードを見られるか」→ 共有設定、ロール階層、共有ルール、チームなど
- 「そのオブジェクトを作成・編集できるか」→ プロファイルまたは権限セット
キューとは何か
キュー(Queue)は、ユーザーの代わりにレコードを持てる共有の受け皿です。実生活でいえば、コールセンターの「未対応トレイ」です。 キューを作ると、次のことが同時に手に入ります。
- 所有者になれる:キューでサポートされるオブジェクトのレコードを所有できる
- 共有の作業一覧として使える:メンバーはキューに割り当てられたレコードを確認できる
- 引き取り(Accept)ができる:必要なオブジェクト権限と共有アクセスを持つユーザーは、キューのレコードを引き取って自分を所有者にできる
キューの作り方(設定手順)
- [設定]のクイック検索に「キュー」と入力し、[キュー]を選択する
- [新規]をクリックし、ラベルとキュー名を入力する
- 必要ならキューのメールアドレスを設定する(レコードが入ったときの通知先)
- [サポート対象オブジェクト]で、受け付けたいオブジェクト(例:ケース)を選んで[追加]する
- [キューのメンバー]にユーザー・公開グループ・ロールを追加して保存する **サポート対象オブジェクトは後から追加できます。**同じチームが別のオブジェクトも扱うようになっただけなら、キューを新規に作り直す必要はありません。運用やアクセス範囲を分けたい場合にだけ別キューを検討します。
キューにレコードを入れる3つの方法
| 方法 | 使いどころ | 対応オブジェクト |
|---|---|---|
| 手動で所有者をキューに変更 | 例外対応、担当者が手放したいとき | キューのサポート対象オブジェクト全般 |
| 割り当てルール | 条件に応じて自動でキューへ振り分ける標準機能 | ケース、リード |
| フロー(レコードトリガーフロー) | 割り当てルールでは表現できない複雑な条件・後続処理が必要なとき | キューを所有者にできる対象オブジェクト |
標準機能で足りるなら割り当てルールを選びます。フローは「割り当てルールでは書けない」ときの手段と考えます。
「所有者がキュー」の状態は放置してよいのか
キュー所有のまま運用するか、個人が引き取るかは、組織のルーティング設計によります。個人別の担当管理が必要なら「キューに入る → 担当者が引き取る」という運用が適します。一方、Omni-Channelなどでキューから担当者へ配信する設計もあります。
割り当てルールとは何か
割り当てルールは、新規に作られたケース/リードの所有者を、条件に応じて自動で決める仕組みです。
- 1つのルール(Rule)の中に、複数のルールエントリを並べます。
- ルールエントリは上から順に評価され、最初に条件に一致したところで止まります。だから並び順が結果を決めます。
- 一致したエントリの「割り当て先」に、ユーザーまたはキューを指定します。
- 有効化できる割り当てルールは、ケース・リードそれぞれ同時に1つだけです。「もう1本ルールを作る」のではなく、「同じルールにエントリを足す」のが正しい設計です。 設定場所は[設定]→クイック検索に「ケース割り当てルール」。
割り当てルールが動くタイミング
- Web-to-Caseなどで作られたケース:有効なケース割り当てルールに基づいて振り分けられる
- Email-to-Case:ルーティングアドレスの[ケース所有者]が空欄なら割り当てルールを使用できる。所有者が指定されている場合は、その指定が割り当てルールより優先される
- 標準編集画面:ページレイアウトの設定と[有効な割り当てルールを使用して割り当てる]の指定により、新規作成時または編集時に実行される場合がある
- API/Apex:ヘッダーやDMLオプションなど、呼び出し方法に応じて実行の有無が決まる
似た名前の機能との切り分け
| 機能 | 何をするか | 発火タイミング |
|---|---|---|
| 割り当てルール | 所有者(ユーザー/キュー)を決める | 新規作成時、または明示的な再適用時 |
| エスカレーションルール | 放置されたケースを上位へ回す・通知する | 作成から一定時間が経過したあと |
| 自動レスポンスルール | 問い合わせ元へ自動返信メールを送る | レコード作成時 |
| Email-to-Case のルーティングアドレス設定 | 受信アドレスごとに既定の所有者やレコードタイプを決める | メール受信時 |
| オムニチャネル | 対応可能な担当者へ、キャパシティやスキルを見てリアルタイムに配信する | 作業がキューに入ったあと |
「条件で行き先を決める」のが割り当てルール、「行き先に着いた仕事を、いま手が空いている人へ配る」のがオムニチャネルです。両者は競合せず、割り当てルールでキューへ入れ、オムニチャネルでそのキューから担当者へ配るという組み合わせが実務の定番です。
所有者を一括変更するとき
退職者などが所有する多数のレコードを別ユーザーへ移す場合は、[一括所有者変更(Mass Transfer Records)]を使用できます。 取引先の一括移行では、関連する商談やケースを移すオプションに加えて、取引先チームを保持、移行対象の商談で商談チームを保持といった選択肢があります。チームを維持する要件がある場合は、単に所有者項目を書き換えるだけでなく、これらの移行オプションを確認します。 所有者変更後は、旧所有者のアクセスが組織の共有設定やチームメンバーシップに従って再計算される点にも注意します。
よくある質問
Q. Email-to-Case で特定のキューに入れたいときは? [設定]→[Email-to-Case]のルーティングアドレスで、そのアドレスの「ケース所有者」にキューを指定します。ここを空欄にしておくと、代わりに割り当てルールが評価されます。両方を設定すると、ルーティングアドレス側の指定が勝って割り当てルールが動かないため、意図しない挙動の原因になります。 Q. キューのメンバーは全員に通知が飛びますか? キュー作成時に[メンバーにメールを送信]を選択できます。ただし、実際の通知はレコードの割り当て方法や通知設定にも左右されるため、キューに入っただけで常に全メンバーへ通知されるとは限りません。キューのメールアドレス、メンバー通知、ケース割り当て通知などを併せて確認します。 Q. すべてのオブジェクトでキューを使えますか? 使えません。キューはリード、ケース、取引先責任者リクエスト、注文、サービス契約、カスタムオブジェクトなど、対応しているオブジェクトで利用できます。商談や取引先のような、常に個人が持つ前提のオブジェクトでは使えません。 Q. キューに入れたレコードは自動で誰かに配られますか? 配られません。所有者が割り当てられるまで、レコードはキューに残り続けます。メンバーが自分で引き取る運用が基本で、自動で個人に配るにはオムニチャネルなどのルーティング機能が必要です。 Q. 1つのキューで複数オブジェクトを扱えますか? 扱えます。ただし、オムニチャネルで複数のオブジェクト種別を同じキュー経由でルーティングする場合、一方の種別が他方のルーティングを妨げる可能性があると公式に注意されています。 Q. フローでも所有者を変えられますが、どちらを使うべきですか? 新規ケース/リードの条件別振り分けなら割り当てルールが直接対応します。複数オブジェクトの更新や、割り当て以外の処理も同時に必要ならフローを検討します。試験では、設問の要件に最も直接対応する機能を選びます。
出典(Salesforce公式)
- Queues — レコードの所有者をキューに変更して共有作業へ追加でき、割り当てルールからケースやリードをキューへ割り当てられることを裏付ける。
- Create Queues — キュー作成時に対象オブジェクト、メンバー、メール通知の設定を選択できることを裏付ける。
- Set Up Assignment Rules(Salesforce Help) — ケース/リードを条件に応じてユーザーまたはキューへ割り当てること、ルールを手動作成・Web・メール経由のレコードに適用できることを裏付ける。
- Assign Cases(Salesforce Help) — キューのレコードを参照・引き取るためのメンバーシップ、共有モデル、編集権限の条件を裏付ける。
- Customize Your Email-to-Case Address Routing Settings — 「ケース所有者:サポート設定のデフォルトのケース所有者を上書きするユーザーまたはキューを選択する」
- Add Routing Addresses for Email-to-Case(Salesforce Help) — ルーティングアドレスのケース所有者を空欄にすれば割り当てルールを使え、所有者を指定すると自動割り当てルールが無効になることを裏付ける。
- Assign using active assignment rules checkbox always checked by default(Salesforce Help) — ページレイアウト設定により、ケース/リードの編集時にも割り当てルールが再実行され得ることを裏付ける。
- Mass Transfer Records — 一括所有者変更で関連レコードを移行でき、取引先チームと商談チームを保持するオプションがあることを裏付ける。