Administrator 練習問題 Q173
Cloud Kicks の経営陣は、ケースがオープンになっている期間を把握するだけでなく、ケースが各チームでどれくらいの期間滞留しているかを把握したいと考えています。プラットフォーム管理者がケースの滞留時間を追跡し、関連するレポートを提供できるツールはどれですか?
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正答:D. 営業時間のマイルストーン
解説
前提知識
マイルストーンとは
マイルストーン(Milestone)は、エンタイトルメントプロセスの中で管理するサポート上の期限・達成段階です。「初回応答」「Tier 1対応」「Tier 2対応」「解決」のような段階ごとに、目標時間と実績を記録できます。 ケースマイルストーンには、主に次の情報が記録されます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 開始日時 | そのマイルストーンの計測を開始した日時 |
| 目標日時 | 期限となる日時 |
| 完了日時 | その段階を完了した日時 |
| 経過時間 | 完了までに要した時間。設定された営業時間を考慮して自動計算される |
| 違反 | 目標日時を超過したか |
経過時間は完了日時が入力された後に算出されます。したがって、チームごとの滞留時間をレポートするには、各チームでの対応段階をマイルストーンとして開始し、段階終了時に完了させる設計が必要です。
営業時間とは
営業時間(Business Hours)は、サポートチームが稼働する曜日と時間帯です。マイルストーンに営業時間を設定すると、夜間・休日を除いたサポート稼働時間で、目標日時、残り時間、経過時間などが計算されます。 たとえば、金曜日18時から月曜日9時までサポート窓口が休みなら、その休業時間を滞留時間に含めない設計ができます。
チーム滞留時間を測るための設計
マイルストーンは、ケース所有者の履歴を自動的に区切って時間計測する機能ではありません。各チームでの滞留を測りたい場合は、次のように業務段階を明示的にモデル化します。
- ケースに「サポート段階」項目を用意する
- 「Tier 1対応」「Tier 2対応」「請求確認」などをマイルストーンとして定義する
- サポート段階が該当値になったとき、そのマイルストーンを適用する
- 次の段階へ移るとき、現在のマイルストーンを完了する Salesforce公式は、ケース所有者を標準UIで変更しただけではエンタイトルメントが再計算されず、マイルストーンが自動的に再評価されないと説明しています。所有者変更だけを計測の開始・終了条件にしてはいけません。
📘 エンタイトルメント・プロセス・マイルストーンの関係がまだモヤッとする方へ。3つの部品を一から整理した記事を用意しています→ エンタイトルメント管理とは何か:SLAをSalesforceで運用する仕組み
設問の状況を分解する
- ケース全体がオープンだった時間だけでなく、各チームでの滞留時間を知りたい
- 経営陣へレポートを提供したい
- 夜間や休日を除く営業時間ベースで測りたい 問われているのは、「期限を超えたら何かを実行する機能」ではなく、段階ごとの開始・完了・経過時間を履歴として残す機能です。 この要件に最も一致するのが、営業時間を設定したマイルストーンです。
選択肢の検討
A. 営業時間付きエスカレーションルール → △(惜しいが不正解)
エスカレーションルールは、一定時間オープンのケースを別のユーザーやキューへ再割り当てし、メール通知する機能です。営業時間を使って経過条件を判定できるため、時間管理という点では惜しい選択肢です。 しかし主目的は再割り当てと通知です。チームごとの開始日時、完了日時、経過時間をケースマイルストーンとして残し、SLA実績を分析する機能ではありません。 これが正解になるのは、「2時間未対応なら上位キューへ自動で引き上げたい」という要件です。
B. 営業時間付きレコードトリガーフロー → ✕
フローで日時項目を更新し、独自の計測処理を作ることは可能です。ただし、営業時間を考慮した目標日時・残り時間・違反・完了実績を標準で管理する機能がマイルストーンとして用意されています。 設問は標準のSLA計測とレポートを問うため、汎用自動化を一から組み立てる選択肢は不正解です。フローは、サポート段階の更新やマイルストーン完了を補助する用途で併用できます。
C. 営業時間付きケース割り当てルール → ✕
ケース割り当てルールは、ケース作成時などに最初の所有者を決める機能です。段階ごとの滞留時間を計測する機能ではありません。 また、ケース割り当てルール自体に「営業時間を使って経過時間を測る」という役割はありません。
D. 営業時間のマイルストーン → ⭕ 正解
マイルストーンは、開始日時、目標日時、完了日時、経過時間、違反状態を記録します。経過時間は営業時間を考慮して計算され、ケースマイルストーンをレポート対象にできます。 各チームの対応段階を別々のマイルストーンとして設計すれば、マイルストーン名ごとに経過時間を集計し、どのチーム・段階に時間がかかっているかを分析できます。
管理者としての対処手順
- [設定]→[エンタイトルメント設定]でエンタイトルメント管理を有効化する
- [設定]→[営業時間]で、サポート部門の稼働曜日・時間・休日を設定する
- ケースに「サポート段階」などの項目を作成し、「Tier 1」「Tier 2」「請求確認」など、測定したい業務段階を明示する
- [設定]→[マイルストーン]で、各段階に対応するマスターマイルストーンを作成する
- ケース用のエンタイトルメントプロセスを作成し、各マイルストーンについて次を設定する
- 目標時間
- 適用する営業時間
- 適用条件(例:サポート段階=Tier 1)
- 処理順序
- ケースを適切なエンタイトルメントに紐づける。エンタイトルメントプロセスは、エンタイトルメントにリンクされたケースで実行される
- チームが対応を終えて次の段階へ移すとき、現在のマイルストーンを完了させ、完了日時を記録する運用または自動化を用意する
- ケース所有者を変更する場合は、所有者変更だけではマイルストーンが再評価されないことを前提にテストする。所有者ではなく専用の段階項目を判定条件に使う
- ケースページに[ケースマイルストーン]関連リストを配置し、開始日時・完了日時・経過時間・違反を表示する
- [レポートタイプ]でケースマイルストーンを主オブジェクトとするカスタムレポートタイプを作成し、マイルストーン名ごとに経過時間を集計する
あわせて覚えておきたいポイント
- ケースの「営業時間ベースの経過時間」は、ケース全体の年齢を測る機能です。段階ごとの滞留時間を分けて残す用途には、マイルストーンを使います。
- マイルストーンの経過時間は、完了日時が入力された後に算出されます。完了方法を設計しないと、正しい実績レポートになりません。
- ケース所有者の標準UIでの変更は、エンタイトルメント再計算を起動しません。チーム移管を所有者変更だけで表現する設計は避けます。
- 1つのエンタイトルメントプロセスに設定できるマイルストーンは標準では10件です。複雑なSLAでは、Salesforceサポートへの申請により最大50件へ増加できます。
- 「時間を計測してSLA実績を報告する」ならマイルストーン、「時間切れで担当を変えて通知する」ならエスカレーションルールです。
出典(Salesforce公式)
- View the Case Milestones — 「開始日時、完了日時、経過時間を表示でき、経過時間はケースの営業時間を考慮して自動計算される。経過時間は完了日時の入力後に計算される」(本問の決定的根拠)
- Optimize Data Analysis, Reporting, and Decision Making with the Case Milestones Report Type — 「ケースマイルストーンを主オブジェクトとするカスタムレポートタイプで、SLA違反や過去のSLA実績を分析できる」
- Add a Milestone to an Entitlement Process — マイルストーンの目標時間、営業時間、適用条件、処理順序を設定できる。条件式ではケース所有者項目を使用できない
- How a Record Moves Through an Entitlement Process — 「ケースは条件に一致するマイルストーンへ関連付けられ、更新後にプロセスを再評価して次のマイルストーンへ進む」
- Salesforce Service Cloud Milestones Not Re-Evaluated When Case Ownership Changes — 「標準UIでのケース所有者変更はエンタイトルメント再計算を起動せず、マイルストーンは自動的に再評価されない」
- Increase Maximum Number of Milestones on an Entitlement Process — 「標準上限は1プロセス10件。Salesforceサポートへの申請で最大50件まで増加できる」
- Improve Case Tracking and Reporting by Enabling Business Hours Age — 営業時間ベースの経過時間が、ケース全体の経過時間を算出する機能であることの根拠