Administrator 練習問題 Q184
Cloud Kicksは、従業員の福利厚生に関する質問に対応するために従業員エージェントを導入しました。プラットフォーム管理者は、CEOの個人健康保険や福利厚生に関するスタッフからの質問にエージェントが回答するのを防ぐにはどうすればよいでしょうか?
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正答:B. ユーザーの権限とフィールド レベルのセキュリティによって CEO の健康計画へのアクセスが制限されていることを確認します。
解説
前提知識
Agentforceの従業員エージェントとは
Agentforceの従業員エージェントは、社内ユーザーから自然言語で依頼を受け、Salesforceのデータやナレッジを参照して回答・処理を行うAIです。本問では、従業員が福利厚生について質問する場面を扱っています。
従業員エージェントの実行コンテキスト
本問で最も重要な前提です。従業員向けエージェントは通常、質問しているログインユーザーのコンテキストで実行されます。 そのため、質問者に適用されている次のアクセス制御が、エージェントにも適用されます。
- ユーザーライセンス
- プロファイルと権限セットによるオブジェクト権限
- 項目レベルセキュリティ(FLS)
- 組織の共有設定(OWD)、ロール階層、共有ルールなどのレコードアクセス Salesforce公式は、従業員エージェントでは既存のユーザー権限、FLS、共有設定がエージェントのアクセス範囲を決めると説明しています。 一方、外部顧客向けチャネルで動くエージェントなどは、専用のエージェントユーザーで動く場合があります。従業員エージェントと顧客向けエージェントの実行主体を混同しないことが重要です。
セキュアデータリトリーバルとは
エージェントが回答を作るときは、Salesforceのデータを取得してプロンプトの根拠にします。この処理をグラウンディングと呼びます。 Einstein Trust Layerのセキュアデータリトリーバルは、オブジェクト権限、項目権限、レコードアクセスなどの既存のSalesforce権限を尊重してデータを取得します。質問者が参照できないデータは、エージェントの回答材料としても取得されません。 つまり、CEOの健康情報を確実に守るには、エージェントへの文章上の指示だけでなく、元データそのものを一般従業員からアクセス不能にする必要があります。
設問の状況を分解する
- 従業員エージェントが福利厚生に関する質問へ回答する
- CEOの個人健康保険や福利厚生は、一般従業員に見せてはいけない
- 求められているのは、言い回しに左右されない強制的なデータ境界 ここでの判別基準は、「データを取得できなくする」のか、「回答しないようAIに依頼する」のかです。 権限とFLSは、Salesforceプラットフォームが強制するアクセス制御です。指示とガードレールはエージェントの振る舞いを制御しますが、機密データへのアクセス権そのものを取り消す仕組みではありません。
選択肢の検討
A. エージェントを従業員データに割り当てるための割り当てルールを構成する → ✕
割り当てルールは、リードやケースなどの所有者を条件に応じて決める仕組みです。従業員エージェントが参照できるオブジェクト、項目、レコードの範囲は制御しません。 これが正解になるのは、「受信したケースを担当キューへ自動的に振り分けたい」といった担当者決定の要件です。
B. ユーザーの権限と項目レベルセキュリティで制限する → ⭕ 正解
従業員エージェントは、通常、質問者であるログインユーザーのアクセス権を引き継ぎます。一般従業員の権限から健康情報の項目をFLSで隠し、CEOのレコードを共有対象外にすれば、エージェントもその情報を取得できません。 項目レベルセキュリティは「どの項目を見られるか」を制御します。CEOのレコード自体を見せないためには、OWDや共有ルールなどのレコードアクセスも併せて確認します。
C. エージェントの指示とガードレールを変更して質問をブロックする → △(惜しいが不正解)
実務では併用すべき対策です。トピックの範囲や指示に「役員個人の健康情報には回答しない」と記載すれば、エージェントの望ましい振る舞いを定義できます。 ただし、自然言語の指示はデータアクセス権そのものではありません。権限が開いたままでは、想定外の聞き方やアクションを通じて機密データへ到達する余地が残ります。機密情報の境界は権限で作り、その上に指示とガードレールを重ねるのが正しい設計です。
D. CEOのプランではなく従業員の健康保険プランについてエージェントをトレーニングする → ✕
回答に使う情報を変えるだけでは、実行時に参照できるSalesforceデータを制限できません。Agentforceは、許可されたデータソースから実行時に情報を取得して回答をグラウンディングします。 これが正解になるのは、アクセス制御ではなく、回答に使用する正式なナレッジやデータライブラリを整備することが問われた場合です。
管理者としての対処手順
- 対象が社内ユーザー向けの従業員エージェントであり、ログインユーザーのコンテキストで動く構成であることを確認する
- 一般従業員に割り当てるプロファイルと権限セットを確認し、健康保険データを持つオブジェクトへの権限を必要最小限にする
- 健康状態、保険プラン、保険料、扶養情報などの機密項目を、一般従業員の項目レベルセキュリティで非表示にする
- OWD、ロール階層、共有ルール、必要に応じて制限ルールを確認し、CEOのレコードが一般従業員へ共有されないようにする
- ナレッジやデータライブラリを使う場合は、そのデータソースの共有設定、データカテゴリ、フィルターも確認する
- 権限による境界を作ったうえで、トピックの指示とガードレールに役員個人情報を扱わないルールを追加する
- 管理者ではなく、代表的な一般従業員ユーザーとしてテストし、CEOの項目・レコード・回答を取得できないことを確認する
あわせて覚えておきたいポイント
- Agentforceの問題で「見せてはいけないデータ」が問われたら、まずオブジェクト権限、FLS、共有設定を確認します。
- 「話題の範囲」「口調」「回答手順」を制御する問題なら、トピックの指示やガードレールが中心になります。
- 従業員エージェントは通常ログインユーザーのコンテキスト、外部顧客向けエージェントは専用エージェントユーザーで動く場合があります。実行主体に応じて権限設計が変わります。
- 管理者ユーザーでのテストだけでは、一般従業員の実際のアクセス境界を検証できません。必ず対象ユーザーとしてテストします。
出典(Salesforce公式)
- Best Practices for Agent User Permissions — 「従業員エージェントは通常ログインユーザーのコンテキストで実行され、ユーザーライセンス、権限、項目レベルセキュリティ、共有設定がデータアクセスを決める」(本問の決定的根拠)
- Follow the Prompt Journey(Trailhead / The Einstein Trust Layer) — 「セキュアデータリトリーバルは既存のSalesforce権限を尊重し、ユーザーがアクセスを許可されたデータのみを取得する」
- Einstein Trust Layer — プロンプトを実行するユーザーの権限に基づいて、グラウンディング用データを安全に取得する
- Agentforce Security and the Shared Responsibility Model — 管理者が既存のアクセス制御と最小権限を正しく設定する責任を負うことの根拠