Administrator 練習問題 Q300
ある組織は、取引先名と請求先住所を基準にして、取引先レコードの重複作成を防ぎたいと考えています。システム管理者はどの機能を設定すべきですか?
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正答:B. 一致ルールを伴った重複管理(重複ルール)
解説
前提知識
重複管理とは
重複管理は、ユーザーがレコードを保存する直前に、既存レコードと突き合わせて重複を検知するSalesforceの標準機能です。この機能は必ず2つの設定がセットで動きます。
一致ルールとは
「何をもって同じレコードとみなすか」の基準です。比較する項目(例:取引先名と請求先住所)と、その比較方法(完全一致か、表記ゆれを許容するあいまい一致か)を定義します。Salesforceは取引先・取引先責任者・リード・個人取引先向けの標準一致ルールを用意しており、足りなければカスタム一致ルールを作成できます。
重複ルールとは
「一致したときにどうするか」の処置です。警告を出しつつ保存を許す(アラート)か、保存自体を禁止する(ブロック)かを選べます。一致ルールを作っただけでは何も起きません。重複ルールに一致ルールを紐づけて初めて機能します。
💡 一致ルールと重複ルールの関係がまだモヤッとする方へ → 重複管理とは何か:一致ルールと重複ルールで重複レコードを防ぐ仕組み
入力規則との決定的な違い
入力規則は、保存しようとしているそのレコード1件の中身だけを検査します。数式から他のレコードを検索する手段がないため、「同じ取引先名と請求先住所のレコードがすでに存在するか」は判定できません。ここが本問の分かれ目です。
設問の状況を分解する
- 対象オブジェクト:取引先。
- 判定基準:取引先名と請求先住所の複数項目の組み合わせ。
- やりたいこと:重複レコードの作成を防ぐ(作られた後の探索ではない)。 「複数項目を基準にして、他のレコードと突き合わせて、保存前に止める」。3つ揃った時点で、答えは重複管理一択です。 初学者が誤解しがちなのは、「項目に[一意]を付ければ重複を防げる」と考えてしまう点です。[一意]属性が効くのは「その1項目の値がまったく同じ場合」だけです。本問のように「取引先名+請求先住所」の組み合わせで判定したい場合には使えません。
選択肢の検討
A. 入力規則 → △(惜しいが不正解)
「保存を止める」という振る舞いは重複ルールのブロックと似ているため、選びたくなる選択肢です。しかし入力規則の数式が参照できるのは、そのレコード自身の項目と、主従関係の親レコードの項目などに限られます。同じオブジェクトの他のレコードを検索することはできません。正解との判別基準は「他のレコードを見に行く必要があるか」。必要なら重複管理、不要なら入力規則です。入力規則が正解になるのは「取引先名が空白なら保存させない」「郵便番号は7桁でなければエラー」といった、単一レコード内で完結するチェックのときです。
B. 一致ルールを伴った重複管理(重複ルール) → ⭕ 正解
取引先名と請求先住所を比較項目に指定した一致ルールを作成・有効化し、それを取引先の重複ルールに紐づけて「ブロック」を指定すれば、ユーザーは重複する取引先を保存できなくなります。これが要件に真っ直ぐに対応する標準機能です。
C. ワークフロールール → ✕
ワークフロールールは、条件に一致したレコードに対して項目更新やメールアラートなどを実行する旧自動化機能です。他の取引先レコードを一致ルールで照合し、現在の保存を重複としてブロックする機能ではありません。また、Salesforceは2025年12月31日でワークフロールールのサポートと更新を終了しており、新規自動化にはフローを推奨しています。
D. プロセスビルダー → ✕
プロセスビルダーは、レコードの変更を契機にアクションを実行する旧自動化機能です。一致ルールによる重複候補の特定や、重複ルールの[ブロック]動作を提供する機能ではないため、本問の要件には対応しません。また、Salesforceは2025年12月31日でプロセスビルダーのサポートと更新を終了しており、新規自動化にはフローを推奨しています。
管理者としての対処手順
- [設定]のクイック検索に「一致ルール」と入力し、[一致ルール]を開く。
- [新規ルール]をクリックし、オブジェクトで[取引先]を選択。
- ルール名(例:取引先名+請求先住所での重複判定)と説明を入力する。
- 一致条件に「取引先名」と、判定に必要な請求先住所の構成項目(請求先町名・番地、請求先市区郡、請求先郵便番号など)を追加する。各項目では、Salesforceがその項目に対して提供する一致方法から、完全一致または利用可能なあいまい一致を選ぶ。
- 保存して[有効化]する(有効化しないと機能しない)。
- クイック検索に「重複ルール」と入力し、[重複ルール]→[新規ルール]→[取引先]を選択。
- 先ほどの一致ルールを選択し、レコード作成時・編集時の動作を[ブロック]に設定する(まずは様子を見たいなら[許可])。
- 警告メッセージを設定し、保存して有効化する。
- テストユーザーで同名・同住所の取引先を作成し、ブロックが動くことを確認する。
| 要件 | 使う機能 |
|---|---|
| 他レコードとの重複を保存前に防ぐ | 重複管理(一致ルール+重複ルール) |
| 1レコード内の値を検査 | 入力規則 |
| 1項目の値を一意にする | カスタム項目の[一意]属性(外部IDだけでは一意にならない) |
| 既存データ全体をまとめてスキャンする | 重複ジョブ(Performance/Unlimited) |
あわせて覚えておきたいポイント
- 重複ルールはレコードの新規作成時と編集時に評価できます。既存データ全体をまとめてスキャンする場合は、対応エディション(Performance/Unlimited)で重複ジョブを実行します。重複レコードセットは、重複ルールまたは重複ジョブが特定した候補を保持するレコードです。
- 1つの重複ルールに含められる一致ルールは最大3つ、1オブジェクトあたり有効化できる一致ルールは最大5つまでです。
- 「許可(アラート)」にしておくと、警告を無視して作られた重複をカスタムレポートタイプ(関連オブジェクトに「重複レコード項目」を選択)で追跡できます。
- データローダーなどの一括取込でも、重複ルールの[ブロック]に該当する行は取込エラーになることがあります。まず取込データとルール条件を確認し、業務上必要な場合に限って管理下でルールを一時的に無効化または条件調整し、取込後に再有効化してテストします。
出典(Salesforce公式)
- Stop Users from Creating Duplicate Records — 重複ルールでレコード作成・編集時に警告を表示するか、重複レコードの作成をブロックできることを裏付けています。
- Customize Matching Rules — カスタム一致ルールで比較項目と一致方法を定義し、有効化後に重複ルールや重複ジョブで利用することを裏付けています。
- Things to Know About Duplicate Rules — 1つの重複ルールに最大3つの一致ルールを含められること、複数の重複ルールを使う場合に1オブジェクトあたり最大5つの有効な一致ルールを利用できることを裏付けています。
- Differences between the ‘External ID’ field and the ‘Unique ID’ field setting — 外部IDと一意属性は別設定であり、外部IDだけでは重複値を禁止しないことを裏付けています。
- Run Duplicate Jobs in Lightning Experience — 既存データを重複ジョブでスキャンできること、および重複ジョブがPerformance EditionとUnlimited Editionで利用できることを裏付けています。
- Salesforce Workflow Rules & Process Builder End of Support — ワークフロールールとプロセスビルダーのサポート・更新が2025年12月31日に終了し、Flow Builderへの移行が推奨されていることを裏付けています。